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Jazz platz ジャズプラッツ

ジャズプラッツでライブを楽しみませんか



水谷浩章さんは山下洋輔(p)、大友良英(g)、芳垣安洋(ds)、南博(p)、松風鉱一(sax)などのベテラン・ミュージシャンのユニットで信頼され、活躍するベーシストです。こうして名前を挙げると、みんなフリージャズ系の人たちですね。

新宿の老舗のライブハウズPit Innでは、実力、人気ともに備わるジャズマンをリーダーにして3Daysや4Daysの特集シリーズを組んでいます。前述したジャズマンたちも勿論行っていますが、水谷さんも2012年から毎年1月に3Daysを担当しています。3日連続出演で共演者も日替わりになるので、広範囲な交流が生きてきます。

水谷さんが主宰する活動はphonolite(フォノライト)で、2003年から始まりました。本来は木管、金管、弦楽器で構成された12人編成のオーケストラです.
そこからストリング部門だけを選び出して、梶谷裕子(ビオラ)、橋本歩(チェロ)、平山織絵(チェロ)、水谷浩章(コントラバス)の変則的なカルテットにフルートの太田朱美を加えた”phonolite strings”を新たに2010年に結成して活動しています。

通常の弦楽四重奏は第一、第二バイオリン、ビオラ、チェロの編成ですが、水谷さんのカルテットはバイオリンがないので、通常の編成より音域が一段と低くなります。各パートのアレンジはもちろん水谷さんがするのですが、その醍醐味について、アンサンブルの仕方も普通のカルテットとは全然違うので、このメンバーだからできるというところもあり、アンサンブルの絡み方がものすごく面白い感じになっていて、演奏するだけでも面白いと、語っています。室内楽のようなサウンドがグルーブして、アンサンブルの心地よさ、音の温かさが好評です。

水谷さんはアレンジャーとしても定評がありますが、そのアレンジについて独自の考え方を持っています。インタビューで実際にアレンジをどのようにするのかと問われた時に「アレンジっていうのは宝の地図をかいているようなもの」と語っています。「それぞれパート譜ってものを渡すんです。で、せーので始めた時に別々の地図を見ながら皆で宝探しを始めるというか、どこを通ってくかはまだわかんない」と答えています。

メンバーはそれぞれもらった譜面を見ながら演奏して、別々の道を通りながら同じ場所に向かうわけです。フォノライト・ストリングスは5人編成ですから5人分の譜面を各曲ごとに作成するとしたら、最低10曲くらいは演奏するでしょうから、その5人分、と考えると大変な作業ですね。2013年の水谷浩章3Daysで、フォノライト・ストリングスをバックにして歌ったシンガーソングライターの柳原陽一郎氏は、水谷さんのアレンジは「印象派のモネの絵みたいな感じがする」と評しています。

2016年に吉野弘志さんの”Four Basses”で来ていただいた時の水谷さんは真顔で演奏していても口元にいつもかすかな笑みが漂っていて、演奏が本当にお好きなのだと、私は感じ入った記憶がありますが、大量の譜面を書いている間も頭の中で音を聞きながら楽しんでいるのでしょうか。その時のライブと同様に、今回もたくさんのお客様が来てくださるようで、レストランのシェフがぼつぼつ予約打ち止めにしませんかと連絡してきました!
ご予約くださった皆様、ありがとうございます。
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黒田京子さんについてはすでに紹介しましたので、こちらもご覧ください。
(http://jazzplatz.blog134.fc2.co)m/blog-entry-205.html)
音楽を空間的に、「場」としてとらえるというご本人の言葉通り、劇団の音楽監督を務めたり、朗読とのコラボや和楽器との共演、コンサートの企画など、ジャズだけでなくジャンルを超えて活動を広げ、最近は即興演奏や作曲に重点が置かれているようです。

黒田さんのアルバムはピアノソロの” the very voice of silence”も、黒田京子トリオの「ホルトノキ」も、オリジナル曲の演奏です。初期の黒田京子トリオは翠川敬基(チェロ)と太田惠資(ヴァイオリン)がメンバーで、即興演奏を中心としたトリオです。きっかけは、ライブハウスのオーナーの提案によりブラームスの「ピアノ三重奏曲第一番」を演奏することを目的に結成されたトリオだそうです。

この経緯や本番までの苦労については、黒田さんのウェブサイトのTsukimisou 1<essay>(http://www.ortopera.com/tsukimiso/index.html)に詳しく書かれています。2004年頃のことです。
率直に書かれた優れた文章ですので、興味のある方はお読みください。ジャズからプロ活動を始めた黒田さんがクラシックの譜読みや練習に苦しんだ様子や音楽に対する考え方が綴られています。その中で、思うように譜読みができない自分に苦しみ、「私はあらためて自分が如何にジャズに犯されているかを思い知りました」と書いているのを読み、私はう~んと考え込みました。

1980年代後半、黒田さんがライブ活動を始めたときはジャズから出発しています。それを、「ジャズに犯されている」という厳しい否定的な言葉を使うのはなぜだろうと思ったのです。「ジャズに毒されている」という言葉もありました。自分の出発点を否定するような表現になることに気づいていたのだろうか?何事にも真摯に全力を尽くす黒田さんのことだから、前進できない自分へのいら立ちだけで、そこまでは感じていなかったのだろうか?などと考えてしまいました。その頃から無意識にジャズに距離を置くようになったのでしょうか?最近のスケジュールを見ても、本格的なジャズの演奏は見当たりません。

クラシック音楽の「「ピアニッシモ」の音を黒田さんのように優しく柔らかくかすかに響かせるジャズ演奏家はあまりいないと思います。喜多直毅さんとの演奏で、私は感動しました。ピアノの音や空間での響きを大切にする黒田さんはいわゆるジャズの演奏に満足できないものがあるのでしょうか?

そんな黒田さんにとって、唯一の例外が坂田明トリオと言えるでしょう。フリージャズの王道を邁進する坂田さんとは1989年頃から共演し、色々な形で今日まで続いているジャズトリオです。

サックス奏者の井口健一氏が書いている黒田さんの紹介記事を見つけたときは、おお、とつぶやきました。2006年頃のホームページのようですが、「特にデューク・エリントンとセロニアス・モンクの作品の解釈と演奏は素晴らしいです。チャンスがあったらリクエストしてみたら」と書かれています。やはり、ジャズが基本、出発点ですよね。エリントンやモンクなどの作品、多くのジャズ演奏家たちが敬愛し演奏し続けてきた曲を、黒田さんの解釈によってどんなふうに展開され演奏されるのか、聞いてみたいと思うのは私だけでしょうか。

黒田さんは「自律した精神と、やわらかい身体を持ちたいと願う、自由を愛する音楽家」と自称しています。坂田さんとの共演はそれを存分に発揮できる機会の一つなのでしょう。このトリオで、坂田さんのつややかで、強靭で、猛烈なスピード感、圧倒的なエネルギーを発するサウンドに呼応して、音に乗り移ったように黒田さんの指が銀盤上を激しく走り、叩き、身をよじりながら一心不乱に弾く演奏シーンが見られるとき、こういうジャズが似合っているのかもしれないと思います。

11月13日にはどんな演奏シーンが見られるでしょうか。ご期待ください。
10月ももう終わりますね。ライブが近づきます。ご予約はルヴェソンヴェール(042-677-3301)にお電話をお願いいたします。このサイトのメールフォームからも受けつけていますのでどうぞ。
坂田明 2016-05-08_ やましん_convert_20181019141732

坂田明さんは高校のブラスバンド部ではクラリネットを担当して、大学のジャズ研に入ってからアルトサックスを吹き始めたそうです。広島大学の水産学部出身ですが、卒業後1962年に上京して、その翌年にはピットインに出演するようになっています。1972年から7年間山下洋輔トリオに参加し、その後さまざまなグループの結成、解体を繰り返しつつ、フリージャズの最前線で活躍してきました。

坂田さんがフリージャズを志向した説明は面白いです。上京してみると、自分より数万倍うまいミュージシャンがたくさんいて、同じことをやっていてはダメ、20年経っても追いつかないから、自分なりに力いっぱい吹こうと思った。その先にフリージャズがあった、そうです。

水産学部出身は伊達ではありません。日本プランクトン協会から特別表彰された、れっきとしたミジンコ研究家で、東京薬科大学の客員教授も務めています。

ミジンコ研究も生半可な姿勢ではありません。当時東京工業大学理学部の助教授でミジンコの発見者、幸島司郎氏に、「ヒマラヤの氷河にミジンコがいますよ」と言われると、50歳を過ぎた身で見に行きました。資金と人材はテレビ局を巻き込んでのドキュメンタリー番組制作という形で確保。ネパールの首都カトマンズの北に位置するランタン国立公園内の標高5100メートルにあるヤラ氷河の先端部にベースキャンプを設置して1週間滞在。こうして、氷河にできた丸い穴のなかに、金魚のような真っ赤な色をして氷の中で元気に泳ぎまわっている「ヒョウガソコミジンコ」を観察しました。

もちろん、下山前には、持参したソプラノサックスの音をヒマラヤの山々に響かせてきました。その報告記事は広島大学広報委員会発刊の広大フォーラムに掲載されています。

海外ツアーも半端ではありません。坂田さんは国内より海外での評価のほうが高いようにも思えます。もちろん、今回のライブのように日本人だけのグループもありますが、海外のミュージシャンと組むユニットもあり、“ARASHI”(坂田明、ヨハン・バットリング(b)、ポール・ニルセン・ラブ(ds))、“梵人譚”(坂田明、ジム・オルーク(b)、ジョバンニ・ディ・ドメニコ(p)、山本達久(ds))、“Iruman duo(坂田明”、ジョバンニ・ディ・ドメニコ(p))などで活動を続けています。海外のミュージシャンが来れば、坂田さんがブッキングしてツアーをし、坂田さんが単身で欧州に行けば、現地の人たちが待ち構えているという次第です。

ちなみに今年のスケジュールを見ると、4月18日からドイツ、ポーランド、ロシアでARASHIのツアー。ドイツのミュージックサイトには「ARASHIリターン・ヨーロッパ」の見出しで予告されていました。

ARASHIツアーの後は、ついでにこっちにも来いよ、とばかりにドメニコ氏がミュージシャンを用意して待っていて、カルテットやデュオで英国、ギリシャ、イタリアへ回り、坂田さんは5月10日まで欧州滞在でした。6月には今度はドメニコ氏が来日して1週間の西日本ツアー。7月始めには、ちょっと2,3日ノルウェーでARASHIのメンバーや英国のフリージャズ系サックス奏者、ジョン・ブッチャーと共演して帰国。休む間もなく、来日したスイスのドラマー、ニコラス・フィールドと7月16日から約10日間の西日本や都内ツアー。

70歳を過ぎてこの活躍ぶりです。超人並みですね、とでも言おうものなら、いやぁ、浮遊しているだけですよと、はぐらかされそうな気がします。というのは、「なるようになるプランクトン生活ですよ。周りに面白そうなことがあれば、それにすぅーとフラフラしながら近寄って、何かヤバそうなら、とりあえず正面衝突避けて、スルっと抜けて、おもしろいことをやる」とご本人が語っているのですから。

ミジンコは体長がせいぜい1.5~3.5ミリで、自力では移動できず浮遊するだけの微小生物ですが、遺伝子は3万1000個以上あり、ヒトよりも8000個多いとか。坂田さんはそんなミジンコを観察したり撮影しながら、「命」を感じているそうです。ミジンコの命、あらゆるものの命、命ある自分が奏でる音楽、それらは坂田明の身体と感性を通してつながり、音楽となって自由に、絶えず変貌していくのでしょう。サックスの激しいブロウ、時に鈴を鳴らし、唸り声をあげ、声を絞り出して歌うのも、命の歌かもしれません。最後に坂田明さんの言葉を添えます。

「自分の生きてきた行動の全てが自分の演奏する音に収斂された時、一番の喜びとなる。だから僕の人生の核は音であり音楽である」

ご予約をお待ちしております。ルヴェソンヴェール(042-677-3301)にお電話をどうぞ。


フリージャスの大御所、坂田明のトリオ。
フリージャスと聞くだけで敬遠する人は、是非お聞きください。ミジンコ博士で、浮遊するだけの極小甲殻類の世界を熟知するサックス奏者の心は深淵で、達観しているように見えて、時に獰猛、時にやさしく音を出します。「ひまわり」も「赤トンボ」も武満徹の曲も、坂田明独自のジャズになって聞く人の心を捉えます。

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台風が接近する中、ライブを開催しました。時間を早めて挙行することに決め、メールでお客様に知らせると、遠方の方々のキャンセルは入りましたが、地元のお客様は行けるよ~とのお返事。
まさに、「雨ニモマケズ、風ニモマケズ・・・・丈夫ナカラダヲモチ・・・・」のお客様がお越しくださり、無事最後まで素晴らしいライブを開催することができました。お礼申し上げます。




竹内直さん
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田中信正さん
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本田珠也さん
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外もまだ穏やかで、無事開始
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コルトレーンから始まりました。
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バラードになると
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竹内さんが吹きあげて、本田さんのドラムソロが爆発すると
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田中さんは最初は笑っていましたが、ついに手を振り始め、鍵盤ではなく、ピアノの枠を叩いて共振?
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「荒れ模様の天候にぴったりのジャズ。台風を吹き飛ばしそうなパワフルなジャズ、と思いきや、一転してリリカルなメロディの演奏。たっぷり楽しませていただきました」
「迫力満点。『何か乗り移ってる?』『コルトレーンやからね』と会話。ピアノとドラムの息もとてもよかった」
「ピアノとドラム、静と動のギャップがすごすぎて、笑ってしまうほど感動しました」  アンケートより
キティちゃんのトレーナーが好評でした。

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最後に、嵐が接近する中お越しくださったお客様に、竹内さんが感謝の言葉を述べました。

裏方はウェブの1時間ごとの天気予報と電車の運行情報をチェックしながらの進行でしたが、この1時間ごとの天気予報はとても信頼できます。これは初めての確信でした。
幸い、台風の進度が遅くなり、京王電鉄がJRよりは頑張ってくれたおかげで、嵐がまだ鈴かな内に終了し、皆様にも無事帰宅していただけたようで、めでたし、めでたしの結果でした。
ご参加下さった皆様、出演者の皆様、レストランのスタッフの皆様、ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

次回は11月11日、坂田明トリオです。
ルヴェソンエールの店長と終了後に話しました。
「よかったですね。もう台風はこりごり、次は11月だから、大丈夫ね」
「いや、次は大雪だったりして」
「やめて!」
でも、ふと思いだしたのが、冒頭の詩「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」のあとは
「雪ニモ、夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ・・・」でしたね。