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Jazz platz ジャズプラッツ

ジャズプラッツでライブを楽しみませんか

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写真(Mizuho Fukahori)

喜多さんを紹介するには、喜多さんのウェブサイトをご覧くださいというのが一番良いと思います。(https://www.naoki-kita.com/)ブログでは自分をオープンに語ることを厭わない誠実さがあり、文章力もあり、近況も細やかに語られています。自己紹介のところでは、経歴のまとめ方に構成力があり、自分を客観視しながら思考しているので自画自賛に終わらず、的確な説明になっています。喜多直毅を余すところなく表現しています。

喜多さんは多彩な活動をしていますが、2011年に結成した喜多直毅クアルテット(この表記法は喜多さんの表現に従っています)が中核になるのかなと思います。バンドネオンの北村聡、ピアノの三枝伸太郎、コントラバスの田辺和弘というタンゴの名手たちがメンバーで、楽器編成から見るとタンゴ四重奏団ですが、喜多さんのオリジナル曲ばかりを演奏するクアルテットです。喜多さんの体にしみ込んだタンゴ、フリージャズ、即興演奏、現代音楽など、ジャンルを融合して発現されるオリジナル曲です。

2014年に「Winter in a Vision」を発売し、今年5月に「Winter in a Vision 2」をリリースして好評を得たこのクアルテットの公演スタイルは独特です。タイトルは「無慚―沈黙と咆哮の音楽ドラマ」。リリース記念コンサートはいずれも、メンバーは全員黒服、舞台の照明を落とし、途中休憩なし、MCなし、アンコールなし、2部なし、で喜多さんのオリジナル曲をひたすら連続演奏するという構成です。いわば演奏者にも聞き手にも濃密な集中力を強要する演出です。オーディエンスは集中したなかで音楽に囚われ、そこから生まれる想念にゆすぶられる、まさに「音楽ドラマ」ですね。

今年の喜多さんは朗読とのコラボが立て続けにありました。元NHKアナウンサー青木裕子さんによる高樹のぶ子作品の朗読とのコラボ。女優の森都のりさんによる宮沢賢治の「セロ弾きゴーシュ」の朗読とのコラボ、女優の長浜奈津子さんによる坂口安吾や永井荷風の作品の朗読とのコラボなど。喜多さんは小説を読み込んで、その作品を丁寧にブログで説明しています。朗読の声と音楽で、小説の世界を一つのシーンとして立ち上げる楽しさが言葉に滲んでいます。

2年前に喜多さんの演奏を初めて聞いたとき、演奏する姿、曲に込めた情感の表し方に、ドラマ性を含んだ演奏という印象を受けて新鮮でした。喜多さんのヴァイオリンはなめらかな音ではなく、エッジの効いた、ノイズも混じる音で、場の緊張感を高めます。喜多さんの特質はソロの即興演奏によく表れていると思います。特に2016年にドイツのデュッセルドルフで独奏した映像はまさに喜多直毅の世界で、単なる喜多直毅の音楽の世界にとどまっていないように思えます(https://www.youtube.com/watch?v=LAOKvzCNpyI)
私の個人的な考えですが、喜多さんを表現するには「音楽家」または「演奏者」にとどまらない「表現者」という言葉のほうがふさわしいのではないかと思います。

自己表現しようとするエネルギーに充ちていて、それが言葉にもあふれています。音楽においても、「自分の求める音楽とは何か」のなかに「音としてだけでなく、作曲した作品をいかに表現するか」も含まれていて、音楽に対するイメージや情念を効果的に表現することを模索するエネルギーになっています。傍から見れば、「演出」に見えるかもしれませんが、喜多さんにとっては、音楽空間をも総合した演奏の在り方こそ自分の音楽の世界だ、と感じているのかもしれません。

9月も今日で終わりです。喜多直毅&黒田京子のデュオライブまで、もう二週間となりました。
お二人の息の合った演奏をぜひお楽しみください。
ご予約はルヴェソンヴェール(042-677-3301)にどうぞ。
このサイトのメールフォームからも受け付けておりますので、よろしくお願いいたします。



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